
ドキュメントやツールが増えるほど、組織において情報を「探す」・「共有する」・「更新する」コストは高くなります。従来の基盤に「同時編集できない」「探しにくい」といった課題があり、Notionを導入したというグロービス。今回はCTOである末永さんに、導入の背景やチームでの利用状況、カスタムエージェントで生まれた“人が回さなくても回る仕組み”についてお話を伺いました。
「誰もが自由に発信できること」が、共創とイノベーションの土台になる

-グロービスの事業内容について教えてください。
末永さん:グロービスは「ヒト」「カネ」「チエ」の生態系を創り、社会の創造と変革を行う会社です。そのなかでも、グロービス・デジタル・プラットフォームは、グロービスのデジタルプロダクトを作って展開しているチームです。GLOBIS 学び放題のような動画学習サービスや、学習管理の仕組みなど、複数のデジタルプロダクトを開発・運用しています。私自身はCTOとして、プロダクトの技術面だけでなく、組織全体のテクノロジー向上をリードする立場にいます。
-Notionを使い始めた背景を教えてください。
末永さん:もともと情報共有を大事にする文化があり、以前は別のツールをドキュメント基盤として使っていました。同時編集ができないことや、トップページ中心の導線では情報探索が難しいこと、Markdownが非エンジニアには書きづらいことが課題になっていました。
ドキュメントを「点」で終わらせず、関係性ごとに扱えて、誰もが使いやすい基盤が必要でした。Notionなら、ドキュメント・議事録・意思決定・タスクが同じ場所でつながり、発信とコラボレーションを増やせると思ったんです。
-組織としてNotionを活用することになった決め手は何だったのでしょうか。
末永さん:「誰もが自由に発信できること」が、共創とイノベーションの土台になると考えています。情報が上から降りてくるだけでは、発想が限定されます。Notionなら、ドキュメント・議事録・意思決定・タスクが同じ場所でつながり、発信とコラボレーションを増やせると判断しました。
-Notion導入後、業務の進め方や働き方にはどんな変化がありましたか。
末永さん:情報発信量が圧倒的に増えました。アンケートでは、Notion導入後に半数以上のメンバーがほぼ毎日記事を更新しているという結果が出ています。移行前のツールでは、153アカウント中57アカウントが一度も投稿していませんでした。
議事録やメモの蓄積も進み、行動がログ化された感覚があります。テンプレート化が進んだことで、事前に議題を整理する文化や、意思決定フローの残し方も改善しました。
これまでエンジニアやNotion上級者の専売特許だったエージェント構築が、業務を一番よく知っている現場の手に

-カスタムエージェントのどのような点に魅力を感じていますか。
末永さん:一番の魅力は「エージェントを作るハードルが下がった」ことです。指示書をNotionページに書き、権限と参照先を指定するだけで、業務文脈を持つエージェントを現場が自分で作れます。プログラミングは不要です。重要なのは「民主化」です。これまでエンジニアやNotion上級者の専売特許だったエージェント構築が、業務を一番よく知っている現場の手に渡りました。
もう一つは、トリガーと組み合わせたときに、エージェントが「リアクティブ」から「プロアクティブ」に変わる点です。人が毎回呼び出す前提を外せます。
-エージェントが「リアクティブ」から「プロアクティブ」というのは素敵な表現です。トリガーを使って、「プロアクティブ」に変わることでどのような利点を感じますか?
末永さん:「人間が回さなくても、仕組みが回る」という体験です。これまでのAIは基本的に受動的で、起動するためにはタスクが増えがちでした。
トリガーは、時間指定、ページ作成・更新、メンション検知、Slack連携などを起点に自動実行でき、Notionの中で条件から実行までが完結します。一方で、実行条件の絞り込み、最小権限、レビューの設計も重要だと感じています。
Notionは、情報の流れと業務の実行を自動で回し、人間が考えることに集中できる土台
-カスタムエージェントが、これまでのAIと違い「仕組み」になると感じた理由はどのような点でしょうか。
末永さん:Notionは、ドキュメント・データベース・プロジェクト情報が同じ場所でつながり、企業のコンテキストが集約されます。さらに、カスタムエージェントとトリガーで条件から実行まで同じ環境で回せるようになり、単なるツールではなく「仕組み」になると感じました。
-末永さんは、Notionをチームの仕事を動かす土台として活用してくださっていますね。
末永さん:はい、Notionは「企業におけるOS」であると思っています。OSとは、アプリケーションが動くための土台であり、ハードウェアとソフトウェアの橋渡しをする存在ですが、Notionはまさに、情報の流れと業務の実行を自動で回し、人間が考えることに集中できる土台として活躍しています。
-実際にどのようにエージェントを活用をされていますか。
末永さん:例えば、QAチームでは、チーム全体の「良かった動き」をSlackの複数チャンネルからまとめ、共通チャンネルに共有してくれるQAサポーターというエージェントが活躍しています。
ほかにも、Notionのタスクデータベースを毎朝チェックして、今日やるべきことをSlackに自動投稿し、返信するだけでタスクの更新までできるタスクマネージャーや、メールが来たら自動でカレンダーや過去の情報を参照して返信の下書きを作成し、場合によっては送信ボタンを押すだけで返信が完了するような自動返信エージェントも活用しています。

-カスタムエージェントを利用しはじめたことで、チームに変化は出ていますか?
末永さん:1ヶ月も経たずにエージェントが100体を超えてきたようで、これまでに見ない規模でエージェントが組織で生成されています。
Slack上でもエージェントからの発信が出現し、人と人のコミュニケーションから、人とエージェントのコミュニケーションへと変わり始めています。
-最後に、これからカスタムエージェントを利用される方にコメントをお願いします。
末永さん:自分の業務で、まずは一つ、トリガーで動くエージェントを作ってみてほしいです。まずは「一つだけ」ルーティンを選び、小さく始めて、うまく回ったら権限と条件を整えながら広げると失敗しにくいです。
一度「人が回さなくても回る」体験をすると、仕事の設計思想が変わります。

