
教職員の事務作業の負担を低減した 芝浦工業大学の“教職協働”の取り組み
芝浦工業大学は、職員15名をメンバーとした「業務効率化・DX推進プロジェクト」を2023年2月に発足しました。その目的は、「教職員の事務作業の負担を低減し、教員の教育・研究時間を創出する」こと。そのために同学ではメールやチャット、学内システムに替わるツールとして、データベース機能に優れたNotionを採用し、業務依頼や申請・手続き、会議連絡などの事務作業を効率的に行える環境を“教職協働”で構築しました。1学部から試験的に導入したNotionは、現在、全学部で約700名の専任教職員が利用。学内情報のさらなる「見える化」も進めています。
職員から教員への業務依頼をNotionに一元化!メールに埋もれることがなくなり、教員が一目でわかるように
「業務効率化・DX推進プロジェクト」で真っ先に着手したのが、業務依頼にまつわる教職員間のやりとりの効率化です。職員からの依頼方法はメールやチャット、学内システムなど発信者によって異なっていたため、教員の確認に時間がかかっていました。また、メールの場合は、学会・学生・企業など外部とのやりとりの中に埋もれてしまうという問題もありました。 そこで本プロジェクトでは業務依頼の運用ルールを見直し、発信ツールをNotionに一元化。併せて、Notionのデータベース機能を活用して、教員が依頼を簡単に確認できる「マイページ」と呼ぶページを作成しました。教員がNotionの「マイページ」を開くと、自分が対応すべき依頼だけが表示され、一目でわかります。責任者は、データベースのビューを切り替え、組織内のすべての進捗状況や予定依頼を確認することもできます。


要件定義が複雑でも、Notionならノーコードで構築でき、改修作業も素早く行えます。

業務効率化・DX推進プロジェクト(事務職員)
依頼内容をテンプレートで標準化してわかりやすく、Notion上で作業の「完了報告」までが可能に
職員がメール等で送る依頼文の構成や求める対応方法がバラバラだったため、教員の理解や対応に時間を要していたことも課題でした。そこで本プロジェクトでは、Notionのデータベースを活用したテンプレートを作成して、全部署からの依頼方法を標準化。教員がNotionの「マイページ」を開いて「未完了」列の依頼を開くと、依頼部署や締め切り時期、回答方法などがまとめられたテンプレートが開き、依頼内容を容易に把握できます。 また、教員が依頼への対応を済ませたら完了ボタンを押すだけで職員に通知され、To Doリストの「未完了」列から「完了」(職員が確認中であることを示す)列へと移動。そしてすべてが終了すると、「マイページ」のトップ画面から消えてなくなります。 シンプルな仕組みをNotionを使って構築したことで、教員の負担を大きく低減することに成功しました。また、職員も「対応の滞り」「回答方法のばらつき」などから解放されて進捗管理が効率化したほか、Notionのアナリティクスで教員の閲覧状況を把握できるため、「依頼のリマインドや説明」が不要になりました。Notion導入後の教員へのアンケートでは、「依頼を探しに行ったり、見落としたりすることがなくなった」「締切日を失念しなくて済む」「提出ファイルをアップロードするだけなので簡単」といった良好な回答が寄せられています。


メールで送られてくる大量の「会議についての連絡」も教員が確認しづらかったため、同様にNotionに落とし込みました。

業務効率化・DX推進プロジェクト(工学部教員)
学内の申請や教職員の情報を“見える化”「誰に相談すればいいか分からない」を解消
教員が何かの申請を行う際の「担当部署がわからない」「見当をつけて問い合わせたが、たらい回しにされる」という課題を解決するために、申請の制度を集約した「申請様式集」をNotionのWiki機能を使って作成しました。これにより目的の申請に関する情報がNotion上ですべてわかるため、コミュニケーションコストの削減に成功。さらに、Microsoft Formsを申請画面に埋め込むことで、従来のようにメールの添付ファイルを開かずとも、Notionの画面上で申請作業を完結できるように作業工数の削減にも取り組んでいます。 また、Notionと学内システムを連携させ、教職員の入退職が自動で反映される「教職員一覧」も新たに作成。教職間のやりとりの際、「誰に相談すればいいかわからない」という教員側の問題や、「教員の顔や肩書きが把握しづらい」という職員側の問題がありましたが、新たな教職員一覧を見ればすぐに教員のプロフィールを確認でき、メールや内線番号、Microsoft Teamsなどですぐに連絡できます。


NotionのWiki機能は有効期限を設定できるので、内容の更新を促して情報の鮮度を保てます。また、プロパティを活用して日本語だけでなく、英語も併記しました。

業務効率化・DX推進プロジェクト(事務職員)
チャート機能で現在の依頼の状況をグラフ化し分析、さらなる業務改善を目指す
本プロジェクトではいち早くNotionのチャート機能の活用を開始し、データベースに格納した情報の見える化を行いました。たとえば、業務依頼の場合は、依頼時期や教員への宛先ごとの件数などをグラフ化したダッシュボードを作成。これにより特定の時期や人に依頼が集中している場合は是正策を考えていくことが可能となります。 また、申請の場合は捺印を求める申請や、紙やメールでの申請が継続されている状況が明らかに。このように、今後はデータ分析に基づいた意思決定やアクションを行いPDCAを回し、さらなる業務改善に取り組みます。さらに、「Notionサイト」の機能を利用して、新入生に向けた学修の手引を外部公開したり、教職員がタスク管理など、独自にNotionを活用できる環境を整備したりする予定です。


Notionに業務依頼を集約したことで、職員の対応記録もデータベースに蓄積されます。過去の事例を参照しやすくなり、後任者への引き継ぎが容易になるのもメリットです。

業務効率化・DX推進プロジェクト(事務職員)